香芝市議会令和6年6月定例会が開会し、5月の市長選で初当選した三橋和史市長が所信表明を行いました。
三橋市長は奈良県職員や弁護士としての経験を活かし、「子ども真ん中社会」の推進や地元産業の活性化など5つの政策を柱とした市政運営に意欲を示しました。
「子どもからお年寄りまで、すべての世代が恩恵を受けられる市政の実現を目指す」と述べ、市政改善に向けた具体策を説明しました。
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香芝市 三橋かずし市長所信表明
子育て世代を中心に選ばれる街として発展させる
国全体の人口が減少していく中で、今後の香芝市について「30年、40年先の未来を見すえ、主に周辺地域からの流入による人口増加を図る」との考えを述べました。
そして、「『父になるなら香芝市』『母になるなら香芝市』と子育て世代を中心に選ばれる街として発展させ、あらゆる世代が相互に支え合っていく、活気の溢れる街づくりを推進していく」と方針を示しました。
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「『子ども真ん中社会』の徹底推進」
小中学校入学時の制服・標準服の購入費用を無償化
「『子ども真ん中社会』の徹底推進」の主な取り組みとして、奈良県内初の取り組みとなる「小中学校等への入学時の制服・標準服の購入に必要な費用の無償化」を挙げました。
開始時期については「令和7年度に入学する新入生の準備に間に合うよう、制度設計と予算措置に向けた検討を始めた」としています。
学校設備の充実 危険な通学路を改善
また、「学校施設や設備の充実等、危険な通学路の改善にも力強く取り組む」として、「小中学校等の体育館等への空調設備の設置」「スクールバスの導入等の取り組み」に向けた検証・検討を進めることを述べました。
教職員に対していじめ対応に関する研修を実施
いじめ対策については「香芝市いじめ防止基本方針の内容を改善し、教職員・学校・香芝市が取るべき対応の内容をできるかぎり具体的に明記する」「教職員に対し『いじめ防止対策推進法例』やいじめ対応に関する全般の研修を実施する」ことにより、教職員の技能向上や将来の体制整備に努めるとしています。
市内における待機児童問題の解消を目指す
待機児童の解消については「市立保育所等の果たすべき役割を明確に意識し、香芝市で実績を積み重ねてきた民間の力を生かして市内における待機児童問題の解消を目指していく」との方針を示しました。
また、保育士等のサポート対策として「保育士等の処遇改善施策としての民間保育所等保育士確保対策事業を継続する方向で検討していく」としました。
第二子以降の保育料無償を継続
令和5年4月から開始している第二子以降の保育料無償化については「長期的に安定した財源の確保が前提となるが継続していく」との意向を示しました。
また、家庭保育の支援として「育児相談や親子の交流の場である地域子育て支援拠点の充実を図る」として、「安心して子育てをしやすいまちづくりの推進を目指し、きめ細かな施策を展開する」としています。
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「お年寄りの安全安心な生活を保障」
カシバス(コミュニティバス)の充実で利便性向上に取り組む
「お年寄りの安全安心な生活を保障」では「高齢者世帯では日常の買い物もままならず、長時間をかけて隣駅付近のスーパーまで歩いて買い物に行かなければならない」といった市民の声を例に挙げ、「高齢者の交通手段の確保は行政としての責務」との考えを示しました。
具体策として「カシバス等の充実により利便性の向上に取り組む」として、「検討や民間事業者の参入により、地域貢献地域公共交通の充実を積極的に進めてたい」としました。
「地元産業を大切にした地域活性化」
地元産業の活性化に努める
「地元産業を大切にした地域活性化」については「香芝市商工会等とも連携をしながら地元産業の活性化に努める」との方針を示しました。
「香芝みらい塾」や子どもたちの職業体験「かしばのしごと展」「かしば産業展」を引き続き実施することを明らかにしました。
また、地元の農産物や素材の特性を生かした特産品、香芝市由来の各種行事等について「香芝市地域ブランドとして認定」し、「地域資源を付加価値向上を図っている取り組みに対して、地域ブランド推進事業として後押しをする」としています。
一方で補助事業については「これまでの施策の効果を検討し、必要があれば減額や廃止も含めて適正化を図る」と説明しました。
都市計画等の規制緩和による駅前再開発を促進
さらなる地域活性化策として、「建物の高さ制限を見直し等、都市計画による規制を適切に緩和することで市内の中央駅前の再開発を促す。人々の集う新たな商業施設の整備を促進するとともに、選ばれるまちとして主に周辺地域からの人口の流入による増加を目指す」としています。
「鉄道・道路の利便性の向上」
二上駅を急行の停車駅とするため、近鉄に協議実施を申し入れる
「鉄道・道路の利便性の向上」については、近鉄大阪線二上駅を「急行列車の停車駅とするため、近鉄に対して協議の実施を申し入れる」の方針を明かしました。
香芝市や周辺地域の発展と生活の向上に向けて、「(近鉄と)緊密に意見交換や情報交換をすることができる場を設けられるように力を尽くす」としています。
「あらゆる分野におけるきめ細やかな行政を実現」
「あらゆる分野におけるきめ細やかな行政を実現」については「市民が香芝市に住んで良かったと思えるようなまちづくりのため、あらゆる分野で改善を図る」としています。
スポーツ公園のプール施設は令和7年12月頃の竣工目指す
現在工事が進められているスポーツ公園の整備事業について「プール施設は予定通り、令和7年12月頃の竣工を目指す」と説明。また、スポーツ公園全体の残りの事業について、「市議会との協調路線を堅持しながら、早期の完成を目指す」としました。
モナミホールの跡地利用は早期に具体案を示す
令和2年12月に閉館されたモナミホールの跡地について「ホールや充実した図書館、会議室、学生向けの自習室、子どもたちの集うことのできる広場等を含めた複合施設の整備に向けて、具体案を早期に固めたうえで示す」と述べました。
学校施設の基本方針の内容は見直しの必要性がある
学校施設の再編等について「学校施設の基本方針の内容について見直しの必要性があると認識している」と述べました。
そのうえで「特定の学校で1学年あたり一定の児童数を下回る状況が長期に継続する見込みが明らかになった場合、学校を存続させることがかえって地域コミュニティの衰退を招き、いじめ事象への対処や日常的な学校運営にも支障を及ぼす可能性があることから再編を実施する場合もある」との考えを明らかにしました。
そして「この点については、教育委員会において教育的な見地から学校の統廃合に関する一定の基準を作成していくことが望ましい」として、「香芝市の小中学校の今後のあり方に関する方針は、教育委員会との協議のうえ、再検討することを予定している」と説明しました。
香芝市は人口10万人を目指すことができるまち
三橋市長は所信表明の最後に、「香芝市は人口10万人を目指すことができるまち」として、「子育て世代を中心に選ばれるまちとして発展させ、学校の統廃合がもはや必要ではないと言える状態を目指してまちづくりを行っていく」との目標を掲げました。
そして、市長就任にあたり「香芝市、奈良県、ひいては日本の明日の発展のため、いかなる困難もいとわない」との覚悟を示しました。