奈良県が2024年2月19日(月)、五條市上野公園総合体育館(シダーアリーナ)で「五條市の県有地の活用に関する地元説明会」を開催しました。
山下真知事が地元住民に対して、五條市の県有地でのヘリポート・太陽光発電施設設置などの方針を説明。 説明後の質疑応答では地元・五條市選挙区選出の斎藤有紀県議ら9人の出席者が質問を行いました。
こちらでは6番目から7番目に質問された方の主な質問内容と回答をまとめております。
【五條市の県有地の活用に関する地元説明会・山下知事の説明まとめ】メガソーラーなど新たな防災拠点計画を説明【2024年2月19日】
6人目の質問 仲山嘉五條市議 太陽光発電施設を設置するに至った経緯は
6人目の質問者として五條市議会議員の仲山嘉(なかやまただし)氏が質問。計画の経緯や地元の意見を無視して進める姿勢に疑問の声をあげました。
仲山市議「メガソーラー計画の経緯を教えてほしい」
最初に「地元住民を無視してまで太陽光発電施設を設置するに至った経緯を教えてほしい」と質問しました。
山下知事「太陽光発電施設は防災目的とセット」
山下知事は「太陽光発電施設はあくまで防災目的とセット。道路が寸断され、停電が起きた場合。被災地に電力の供給が途絶される。その場合、蓄電池が必要になる。陸路では運べないから(蓄電池を)ヘリコプターで運ぶ。送電網が途切れても、独立して充電できるように太陽光発電施設をつける。太陽光施設で発電して蓄電池に貯め、それをヘリポートに駐めたヘリコプターで被災地に運ぶ」と説明しました。
大変素晴らしい案だと思って提案
山下知事は「災害以外は、太陽光発電施設は発電のために使う。私は大変素晴らしい案であると思って提案している。地元のみなさんに受け入れられないはずはないと思い、この政策を作った。地元の意思を無視してこの政策を立案したつもりはない」と地元住民のことを考えた案であることを説明しました。
地元の同意や許認可を必要とする法令はない
仲山市議は知事の回答に対して「知事が良い思いというだけであって、地元の同意は関係ないのではないか」と指摘。
山下知事は「今回の計画を進めるにあたり、地元の同意や許認可を必要とする法令はない」と発言。説明の時と同様に、計画を進めるために地元の同意や許認可が必要ないことを強調しました。
【五條市の県有地の活用に関する地元説明会・質疑応答まとめ(1)】メガソーラー計画に地元住民から反対の声【2024年2月19日】
仲山市議「我々の人生をどう考えているのか」
仲山市議は山下知事の発言に対して「地元の意見を無視してまで太陽光発電施設を設置するのは、我々の人生をどう考えているのか。また、太陽光発電施設工事をするのは五條市の業者なのか」と質問しました。
反対があっても公共事業を進めなければならない
山下知事は「公共事業を進めるにあたり、地元のみなさんのご理解をいただきながら進めることが望ましい。しかし、どのような公共事業を行う場合にも必ず反対がある。一部反対があっても公共事業を進めなければならない場合があることはご理解いただきたい」と反対意見があっても計画を進めることを明らかにしました。
大規模広域防災拠点を整備すべきだという意見は約55%
山下知事は「地元の意見との発言があったが、新聞の世論調査の結果を説明させていただく。昨年5月31日付の奈良新聞の記事。奈良新聞が地元の五條市のみなさんに世論調査をした。大規模広域防災拠点の整備に関して、『五條市に整備すべき』という人が54.79%で最も多かった。『五條市以外に整備すべき』という意見が4.26%。『必要性を再検討すべき』という意見が26.06%。『計画を中止すべき』という意見が4.79%。『分からない』との意見が10.11%」と奈良新聞の調査データを説明。
そして、「五條市民の中でも五條市に(大規模広域防災拠点を)整備すべきという意見は約55%に過ぎない」と述べました。
【五條市の県有地の活用に関する地元説明会・質疑応答まとめ(2)】決定前に説明に来るべき・民意はどこまで反映されるのか
山下知事「今回の事業は防災目的」
山下知事は「今回の事業で地元の建設業の発展を期待していたという意見があった。地元の建設業者が発展することで地元の飲食店が潤い、五條市がにぎわうということだが、今回の事業はあくまで防災目的の事業。公共事業そのものが目的ではない」と防災目的の事業であることを説明しました。
五條市の発展に向けて「道路の整備や河川堤防の構築などで、地元の建設業のみなさんにきちんと仕事をしていただけるよう、奈良県としてもこれから仕事を発注してまいりたい」と取り組む姿勢を見せました。
太陽光施設は固定資産税が五條市に入る
山下知事は「地元に税収が入るような仕組みを考えてほしいとの発言だったが、前知事時代の大規模広域防災拠点は1円も固定資産税が五條市に入ってこない。県有施設なので」と大規模広域防災拠点では五條市に税収が入らないことを説明。
現在の計画について「今度は県と民間の共同で太陽光パネルを設置する。太陽光パネルについては年間5000万円、累計では3億8000万円もの固定資産税が五條市にに入る。こちらの方が五條市に税収が入る」と税収面でメリットがあることを説明しました。
【五條市の県有地の活用に関する地元説明会・質疑応答まとめ(4)】計画の再考・地元説明会を求める意見
7人目質問者 リニア残土・奈良県の方針変更について
7人目の質問者はリニア残土に関連した説明の内容、急に方針を変えた奈良県の姿勢に疑問の声をあげました。
知事は担当者からどのような説明を聞いたのか
資料5ページのリニア残土について「(説明資料に)リニア残土を埋め立てて整備するため、地震が起こるまでに滑走路ができないと書かれている。(過去に)奈良県から説明を受けている中でリニア残土の説明は一番最後だと何回も説明も聞いている。知事は担当者からどのような説明を聞いているのか」と質問しました。
山下知事は「2000m級の滑走路をつくるためにゴルフ場用地を残土で埋め立てないといけない。そのために、どれぐらいの土量がいるかはある程度推察される。一方、どれぐらいの残土の供給を受けられるかは全く分からない。リニアの残土のうち、どれぐらいがここにくるかという問題がある。トンネル工事の残土がどれくらいここに持ち込めるかというような問題もある」とい説明。
そして、「リニアの残土を当て込んで埋め立てる計画をしていたことは事実。リニアの工事が終わる頃、2040年ぐらいかもしれないが、その頃にならないと滑走路を建設するための整地ができないということでは、その間に南海トラフ地震がきてしまう可能性がある。そもそもの目的に役立たないではないかという指摘をした」と述べました。
みんなのために奈良県に土地を譲った
荒井知事時代に何度も説明会を開催
質問者は「荒井知事時代に阪合部14字の地元説明会を奈良県の課長や五條市の方も来て行った。このシダーアリーナ(五條市上野公園総合体育館)でも2~3回の説明会を行っている。知事が代わっても知事の部下である現職の担当課長は代わっていないと思う。今日もご足労願っていた課長に会いました」と過去に何度も説明会が開かれてきたことを説明。
さらに「3~4年前に私たちは毎月、県と市の職員さんと話し合いの場をもった。各字へ奈良県の方が説明会に行っていた。その中で五條西インターがフルインターになり、防災拠点までのアクセス道路ができ、168号線からの工事道路ができ、こういう形で進めたいとの説明を受けた。阪合部村民500何戸の同意を得るべく、県の課長さんらにもご足労願った。みんなのために防災拠点と滑走路ができれば役に立てるんじゃないか、協力しようということを前提に、区民の意見を聞いた中で用地を県に譲るという形になった」と過去の経緯を説明しました。
方針が変わるなら何を信じればよいのか
質問者は「知事が代わったからといって、みんなと一緒に何日もかけて防災拠点のためにやってきたことが何の役にも立たないなら、今度奈良県の方と打ち合わせするようになった時、それを信じていいのか。4年後に知事が代わって、また方針が変わらないのか。知事がこれが一番良い方法だと考えてくれていることは理解できる。ただ、(過去に話し合ってきたことを)全部否定されてしまい、県の担当課長も含めて信じられないようなことになっている」と県の方針変更に対する疑問の声をあげました。
そして、「太陽光発電施設を設置するにあたり、何回も地元説明会に入ってくると思う。その時にまた鵜呑みにしたらだめだというようなことになると大変やりにくい。私は3~4年前に区長をしていた。最近、区民の方に会ったら『おまえ県とどんな話し合いをしていたんだ』と言われ、何の返答もできなかった。誰を信じていいのか」と訴えました。
私の任期中は方針は変わらない
山下知事は「奈良県の方針が変わった場合、新しい方針をどこまで信用できるかだが、私の人気はあと3年と数ヵ月。私の任期の間はこの計画が変わることはない。次の知事選挙で私が当選すれば、当然引き続き今の計画を推し進める」と知事である限りは計画を進めることを説明。
一方で「もし、知事が代われば、新しい知事がこの計画を引き継ぐのか、変更するのかは分からない。4年ごとに知事が代わる可能性があるのが今の知事選挙の仕組み。知事の交代によって、ある程度県の方針が変わる可能性があるというのは民主主義という制度が内在している問題」と知事が代わった場合、計画変更となる可能性も含ませました。