【奈良県議会 令和6年2月定例会】小林誠議員の一般質問、大規模防災拠点を見直しの経緯など/2024年3月1日

メガソーラー計画
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奈良県議会では2024年2月から3月にかけて令和6年2月定例会を開催。本会議の代表質問・一般質問では複数の県議から五條市のメガソーラー計画に関する質問があがっていました。

こちらでは3月1日に行われた小林誠議員(日本維新の会)の一般質問の内容と山下真知事の答弁をまとめております。

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小林まこと県議 五條市の県有地関連の質問まとめ

小林議員は山下知事に対して、荒井知事時代に五條市の県有地で計画した大規模広域防災拠点整備を見直した経緯について質問。また、「県議会での財政的なシミュレーションやコストの検証」が不十分であったと指摘していました。

また、大規模広域防災拠点整備に必要な財源について、山下知事は担当部局からどのような説明を受けていたのかなどの質問を行いました。

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大規模防災拠点を見直しの経緯 どのように地元の理解を得ていくのか

小林議員 「山下知事は就任後、これまで県が指定していた県内9か所の広域防災拠点が、大規模災害発生時に県外からの応援部隊や支援物資の受入れ、活動・配送ができるための機能を十分に発揮できていない、できない現状を知って驚かれたのでは。

今後どのように対応し、県民の生命や財産、県民の生業を守るのか思案され、当初の大規模防災拠点の整備方針を見直されたと推察する。

日本維新の会は、大規模防災拠点に2000メートルの滑走路は必要ないとの立場。昨年の議会において、大規模防災拠点が必要である。当初予定されていた整備が必要であると、他会派の県議から意見があった中、防災拠点の整備について、ヘリポートと防災備蓄倉庫の整備を山下知事が発表された。

この表明を受け、五條市の地元自治会や五條市長から当初の案通り、2000メートルの滑走路を併設した大規模防災拠点の整備要望があった。

五條市の県有地について、当初の大規模防災拠点を見直し、ヘリポートや防災備蓄倉庫を整備することとした経緯と、今後どのように地元や県民に対して理解を得ていくのか、知事の所見をお伺いする」

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引き続き県民の理解が得られるよう説明していきたい

山下知事 「五條市の県有地については、昨年6月の予算執行査定において大規模広域防災拠点の整備計画を見直し、どのような活用が適切なのか整備内容の検討を進めてきた。

紀伊半島大水害の実例や県南部地域の地形特性等を踏まえると、南部地域では道路の寸断による孤立集落の発生や停電が懸念される。

そのため、五條市の県有地に大型ヘリコプターが離着陸可能な防災ヘリポート、備蓄倉庫等を整備するとともに蓄電池による災害時の非常用電源を確保する方針である。

また、過去の大災害における全国各地の課題等の検証を踏まえると、『進出・救助活動・航空搬送・物資輸送』の4つの機能を1ヵ所に備えた県の中心となる中核的な広域防災拠点が必要との考えに至った。

県内の既存の広域防災拠点やそれ以外の既存施設で十分にこれらの機能を果たせるか検討を進めてきたが、奈良県には4つの機能を1ヵ所で備える県有施設が存在しないと担当課から聞いていた。

これらの検討を進める中、県立橿原公苑にアリーナを新設することになったことから、アリーナを災害時の物資輸送拠点として活用することで、陸上競技場・野球場等その他の施設とあわせて、広域防災拠点の4つの機能を満たす中核的な広域防災拠点として活用できると考えた。

橿原公苑は奈良県中心部に位置し、交通アクセスにもすぐれており、他の広域防災拠点と連携することで防災力を強化できると考えている。

また、近隣の橿原運動公園も中核的広域防災拠点として併せて指定することができれば、一体的な活用が可能となるため、さらなる防災力の強化につながる。今後、橿原市と調整したいと考えている。

このように、広く県民の生命と財産を守るための取組であることについて、引き続き県民の理解が得られるよう説明してまいりたい」

財政的なシミュレーションやコストの検証が出てきていない

小林議員 「これまでの4年間、奈良県議会の議論を聞いていると、2000メートルの滑走路をつくれば奈良県は安全だというようなことに重きを置いて議論がされてきたと感じている。

大きな2000メートルの滑走路、大規模防災拠点があれば、奈良県はいいかもしれない。しかし、巨額の公費を投資することについては、もっともっと議論をしなければいけなかったのかなと思っている。

例えば、滑走路だけでは当然いけないわけである。様々な施設、発着機の待機場や給油等の設備、さらには司令塔など、様々な施設が検討されていた。そういったことの財政的なシミュレーションやコストの検証は、この4年間、県議会には出てきていないと思っている。

イニシャルコストだけではなく、これからその施設を維持管理するために税金を支払う世帯の方々の声も、私は聞かなければいけないなと思っている。

知事は就任して、大規模防災拠点の金額財源について、どのような財源を当てにしていると財政当局や担当課から説明を受けたのか」

令和7年度以降に実施される事業には緊急防災・減災事業債は使えない

山下知事 「土地の買収に関しては、緊急防災・減災事業債が使われたと認識している。

ただし、現時点では緊急防災・減災事業債については、令和7年度までに事業を概成することが必要とされている。場合によっては延長される可能性もあるわけだが、令和7年度以降に実施される、あるいは期限が延長されるとしても、延長された後に実施される事業には緊急防災・減災事業債は使えないということになる。

リニア中央新幹線のトンネル工事でできる残土を埋立てに使うと言われていた。リニア中央新幹線の大阪までの開業は2037年。現時点では名古屋までの開業時期が当初より遅れると言われている。そうすると、新大阪までの開業時期も2037年からさらに遅れる可能性がある。

仮に2037年(を新大阪までのリニア開業年)とした場合、あと13年後となる。そのときまでに720億円の工事が全部終わっているとは到底思えない。仮に緊急防災・減災事業債の使用期限が延長されたとしても、それ以降は自前でお金を用意するほかない。

それに加えて、260億円のアクセス道路、これはもともと緊急防災・減災事業債は使えない。そうすると、約1000億円、これは試算したときより、今は建設業界の人件費とか資材が上がっているから、1300億円とか1500億円になる可能性は十分あると思う。

そのうち、緊急防災・減災事業債が使えるのは令和7年度もしくは延長された期限までに終わる工事だということであれば、場合によっては1000億円を自前で調達しなければいけない。

しかも、先能登半島の能登空港は災害時に使えない。議員がセミナーでお招きされた熊本県の危機管理防災特別顧問の有浦さんも、防災目的の空港は要らないと言っている。

では、その1000億円はどこから調達するか。私が財政当局から、地域・経済活性化基金というところに毎年20数億円ずつお金を積んでいる。これを当て込むと聞いていた」

大多数の奈良県民が知事を支持しているのではないか

小林議員 「知事の言うとおりだと思う。大多数の奈良県民が知事を支持しているのではないかと個人的には思っている。

当初の案通りだと、リニア中央新幹線の残土のために私の選挙区である斑鳩町に法隆寺から畠田駅に新しい線路を通す計画とか、そういったもろもろの計画も復活するのではないかなと思っている。

そうしないと、2000メートルの滑走路、2000メートルではなくても、あの深い谷を埋める、山を切り削って谷を埋める作業に、1万3000立方メートルぐらいの土砂、残土が必要だったと思うが、それが補えない。

リニア中央新幹線の土を運ぶ、新しい線路もつくるみたいな、そんな説明を地元にしないまま計画された総事業費2000億円の事業もあるが、そういった事業についても、今回、山下知事が誕生して、なくなって良かったという、私の地元の斑鳩町民からそういった声をいただいている。

この4年間議論を聞いていると、政治家なのに、緊急防災・減災事業債があるから別にいいのではないかというニュアンスの答弁をされる政治家がいた。

山下知事、緊急防災・減災事業債だからいいのではないのかという発想について、政治家として、どう考えているのか教えてほしい」

緊急防災・減災事業債だからいいという議論は政治家として責任感・自覚を欠く

山下知事 「緊急防災・減災事業債が使えた場合は7割が起債の返済費を交付税措置してもらえると聞いている。

国から7割補填されるのだったら使ってしまえと、要るか要らないか分からないけれど、つくってしまえと。こういう発想が、我が国の1200兆円を超えるという債務残高を産んできたというふうに私は思っている。

そういう発想で地方がお金を使い続けることについて大いなる疑問を感じていた。国のお金だって奈良県民を含む全国の人が納めた税金を原資としている。無駄遣いはしてはいけないのが当たり前のこと。

緊急防災・減災事業債だからいいのだみたいな議論は、私からしたら、全く政治家としての責任感、自覚を欠く政治家であると言わざるを得ない」

五條市の大規模防災拠点は全市民が望んでいたのか

小林議員 「我々、日本維新の会会派と全く同じ認識でいていただいているということで、大変安心した。

この五條市にそもそも大規模防災拠点は、五條市の全市民が望んでいたのか、どう思うか。私は香芝市に住んでいた。香芝市の山の中、丘の上に住んでいた。丘の上には十数軒しか家がない。

そういった中で、コンビニにジャンプを買いに行くにも、獣道を通って、家から駅のコンビニに行っていた。そういった環境で育っていた私は、大変恵まれていたなと思っている。

でも、香芝市でも宅地開発があった。私の家の周り、見る影もなくというか、もう森も山も削って、木も削って、池も埋めて。そんなところに私は愛着がないので、第2のふるさと斑鳩町に引っ越しをして、今、新たな人生を歩んでいる。

本当に、五條市のみなさんが望んでいるのか、こういったことについて、奈良県としてアンケートをする必要があるかと思う、そういった資料というのは、奈良県は持っているのか」

奈良県では五條市民に調査していないと思う

山下知事 「奈良県としては、そういうことに限ったアンケート調査はしていないと思う。

令和5年5月31日の奈良新聞によれば、奈良新聞がJX通信社と共同で5月27日・28日の両日、世論調査をしたという記事が載っている。

事業見直しの地元の住民を対象に、無作為抽出の電話世論調査を実施した。それによると、五條市の大規模防災拠点の整備について、五條市に整備すべきだという方は54.79%。それ以外の方は五條市に整備すべきだという考え方ではないという調査結果が出ている。

奈良県公式ホームページ

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